沖縄出身者の書評、小説_宝島。沖縄出身者は必ず読むべし。もちろん県外の方も。オススメです。


ハイサイ!ひさおです。

 

私は小説・本が好きで、特に直木賞作品が大好きなんです。

 

ちなみに芥川賞と直木賞の違いって知ってますか?俺はよく知らなかったので調べました。

 

芥川賞
芥川賞はいわゆる「純文学」選考対象の文学賞。
純文学・・・大衆文学と比べて、芸術性や形式について重きを置いた小説
代表作:火花、スクラップアンドビルド、コンビニ人間

 

直木賞
直木賞はいわゆる「大衆文学」選考対象の文学賞。
大衆文学・・・大衆文学と比べて、娯楽性や商業性について重きを置いた小説
代表作品:破門、何者、銀河鉄道の父

 

 

直木賞作品が好きと言いましたが、結構芥川賞作品も読んでるな俺。

で!

今回は第160回平成30年に受賞した「宝島」の書評です。


 

 

 

あらすじ
戦後間もない沖縄を題材にしたフィクション小説。

沖縄の米軍基地から物資を盗み出す「戦果アギヤー」である、少年3人と幼馴染の少女1人の4人が主人公。ある夜、大規模な盗みの計画を立て実行するも失敗に終わる。

そして3人の中のリーダー格であり、街一番の「戦果アギヤー」である「オンちゃん」が行方不明に。

オンちゃんは一体どこへ?残された3人が必死の捜索を続ける中での人生模様、そして戦後間もない沖縄の状況と米軍・日本政府との関係を描いた、「社会派アドベンチャーミステリー」。

※アギヤーとは「挙げる者」を指す。結果を出す人ですな。俺はてっきりアガヤー(上司・偉い人)と同じと思ってた。

 

 

ほら!もう面白そうでしょ。

 

ではもっと読みたくなる、みどころを大きく3つ紹介します。

 

戦後の沖縄を強くイメージさせられる

私は沖縄出身なんですが、1987年生まれのため、当時の状況は沖縄戦の平和学習でぐらいしかわかりません。

戦争に敗れ、1945~1972年(27年間)の間、沖縄はアメリカの統治下にありました。

私の両親はこの期間に丸被りです。何なら母は沖縄市(コザ)出身なので、この宝島で出てくるメインの街と同じなんです。ドル使ってたって言ってました。

で、強くイメージさせられる要因としては、実際にあった出来事が小説の所々で出てくるからです。当時の沖縄で精力的に活動していた政治家などはそのまま出てきます。

米兵による少女暴行・殺害事件、沖縄市コザで起きたコザ暴動、米軍の飛行機が小学校に墜落し、多くの児童が犠牲になった事故、アメリカのお偉いさんと沖縄・日本のお偉いさんを集めた高級会合のハーバービュークラブ(現在はハーバービューホテルとして運営されています。格式高いとか聞いてたけど、そんな理由があったのは知らなかった)など、当時の主要な出来事とストーリーを上手くリンクさせているので、強くイメージさせられるのです。

重要なのはイメージできる、のではなくさせられるのです。ここ大事ね。

 

 

アドベンチャー&ミステリー感

米軍の基地から物資を盗み出す少年達。これが一種の冒険とリンクします。そして街一番の戦果アギヤーであり、皆から慕われている男「オンちゃん」はなぜ消えたのか。これがミステリーです。長年調べ続けていくことで徐々に明らかになるオンちゃん失踪の謎。そしてオンちゃんは・・

最高です。

 

 

沖縄の方言を随所に使っている

随所ってかかなり出てきます。私の世代はほとんど標準語で特定の単語しか方言は使いません。祖父母が方言前回で話してきたら大体のニュアンスしかわかりません笑

この宝島では祖父母レベルの方言が出てきます。もちろん意味も紹介してくれるので読みにくいことはないですよ。

やはり方言があると、沖縄感が出来ますよね。読み終わった後はつい方言を使いたくなります。

 

ざっとこんなところです。

 

読みたくなりますよね。

 

ぜひご拝読くださいませ。

 

 

 

 

【あとがき】

ここからは余談になるのですが、この本を読んでから沖縄の基地問題に対して意識が少し変わりました。

 

私は基地の全面移設は無理だと思っており、基地とはこれからも付き合っていく必要があると思っています。

・アジア諸国を牽制できる沖縄の立地条件

・基地の土地を持っている沖縄の地主達(めっちゃ儲かる)の反発。米軍に土地貸してるんですよ。ただ払っているのは日本政府だと思うけど。

※これ推測ね。でもあると思うなー。だって返還されたら価値下がる可能性の方が高いから。

・基地で働いている人たちの雇用問題(待遇はそこそこいいらしい)

・日本政府からもらってる地方交付金の減額

などが理由です。

 

近年取り上げられている普天間基地の辺野古移設についても、「OKOK。早くやったらいいじゃん」と思ってました。

現在の知事である玉城デニー知事は、辺野古への移設を反対しており、さらには基地の全面移設を訴えています。巷では沖縄独立論も。

辺野古への移設は仲井間知事の時代に決まったことなので、何をいまさら・・・と思って私はずっとイラついてました。

が。

今回宝島を読んで、アメリカ統治下に置かれていた時代を経験した沖縄人の気持ちを考えると「基地の全面移設」を強く願う気持ちがよくわかりました。

元々は独立した国家、琉球から日本に加わり(沖縄になった)、そして敗戦後はアメリカになり、元独立国家のアイデンティティーをもった沖縄人にとって屈辱的な出来事だったと思います。

だからこその「沖縄から基地をなくす」という想い。勉強不足でした。

いずれにせよ私の考えは変わりませんが、移設反対派の気持ちがわかった気がします。

 

そんなことまで考えさせられる小説「宝島」でした。

 

 

おわり


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